種名：Guangweicaris spinatus時代：古生代カンブリア紀前期産地：雲南省、中華人民共和国 澄江動物群
最初期の節足動物の一種であるガンウェイカリスの、大変珍しい背中側から保存された大型の化石標本です。ガンウェイカリスは澄江動物群の代表種であるフキシャンフィアの近縁種と考えられており、１属１種が正式に記載されています。三葉虫のように海底を這いまわり堆積物を食べていたと考えられていますが、硬い外骨格を犠牲にした代わりに現生のカブトエビのようにスムーズに泳ぎ回ることができたと研究者は考えています。
ガンウェイカリスは化石として保存される際、しばしば横倒しになった状態で発見されます。その姿はアノマロカリスの前部付属肢に酷似しており、保存状態が悪いと区別がつきにくくなることがあります。横倒しの状態ではフキシャンフィアに似ているといわれてもいまいちピンときませんが、このような背面からの化石では実によく似ていることがわかるかと思います。
ガンウェイカリスが横側にならない確率は、体感ですが１０％に満たないと思います。背中側からは初めて見た方は結構いらっしゃるのではないのでしょうか。おそらくは危険を感じた際、ヨコエビのように横倒しになって体を丸める防御姿勢をとっていたのではないかと思います。近縁種のフキシャンフィアは逆に横側で化石になることがほとんどないため、本種特有の生態だと考えています。
それでいて大きさは見えているだけで６センチ以上あり、頭部や尾部先端が完全であれば１０センチ近い大きさの大型個体だったことが推測できます。保存状態は極めて良好で、特に尾部の外殻の構造が詳しく観察することができます。本体から離れた場所に、おそらくはく離したと思われる鰓脚らしき痕跡を確認できます。
数年に一度の上級品です。ぜひご検討ください。